Q.

学校の授業でのタブレットの導入などのデジタル化が急激に増加しているように感じます。確かに教育効率が高まるといった利点もあるかもしれませんが、一方で子どもたちの集中力の低下・内職の増加など、看過してはならない問題も増加しているように思われます。デジタル化の具体的な利点・欠点を列挙し、欠点に対して現在どのような対策がとられているのかを教えてください。


A.

おっしゃる通り、学校教育の現場でのタブレットやICTの導入は急速に進んでおり、教育の在り方そのものが変わりつつあります。利点と欠点の両方が存在するのは事実で、バランスの取れた対応が求められています。以下に、教育のデジタル化の「利点」「欠点」、そして「欠点に対する主な対策」を整理してお伝えします。


🌟 デジタル化の利点

  1. 学習の個別最適化
     児童生徒の理解度やペースに応じた教材を提示でき、個別の学びが可能に。

  2. 多様な教材の利用
     動画、アニメーション、シミュレーションなど視覚的・体験的な教材が使える。

  3. 即時フィードバック
     小テストや課題に対してその場で正誤や解説を表示でき、復習がしやすい。

  4. 持ち運びの負担軽減
     教科書やノートをすべて一台のタブレットに集約でき、荷物が軽くなる。

  5. コロナ禍対応や遠隔学習
     在宅でも同じ教材で学習でき、学習の機会が保障されやすい。

  6. 情報活用能力の育成
     検索・整理・発信など、現代社会で必須のスキルを日常的に鍛えることができる。


⚠️ デジタル化の欠点

  1. 集中力の低下
     通知やゲームなどに気を取られ、授業に集中しづらくなることがある。

  2. “内職”の増加
     授業中にこっそり他のアプリやウェブサイトを見るなど、学習から逸脱する行動。

  3. 視力・身体への影響
     長時間の画面使用による目の疲れや姿勢の悪化。

  4. 家庭のICT格差
     家庭のネット環境や保護者のリテラシーによって学習の質に差が出る可能性。

  5. 対面でのコミュニケーション機会の減少
     デジタル端末に頼ることで、人との対話が減る傾向も。

  6. 不適切な情報へのアクセスリスク
     有害サイトやネットいじめのリスクも高まる。


🛡️ 欠点に対する主な対策

欠点現在の主な対策
集中力の低下・内職・使用アプリの制限機能
・授業用モードの導入(例:画面共有で教員が一括管理)
・教師によるモニタリングツールの活用
身体への影響・1コマあたりの使用時間制限
・「20分ごとに目を休ませる」ルールの設定
・姿勢指導
ICT格差・家庭貸出用端末の整備
・通信費補助
・保護者向けのICT講習
コミュニケーション減少・グループワークの併用
・対話やディスカッションを取り入れたICT活用
不適切な情報アクセス・フィルタリングソフトの導入
・ネットリテラシー教育の実施(情報モラル授業など)

💡まとめ

教育のデジタル化は、学びを多様で柔軟にする一方で、「使い方」によっては子どもたちの集中や健康、健全な成長にマイナスの影響も与え得ます。現在は文部科学省や自治体、学校が一体となって、技術だけでなく「使い方の教育」や「生活習慣の支援」など、総合的な対応が求められている段階です。


必要なら、具体的な自治体や学校での事例もご紹介できますよ!興味ありますか?


Q.

教育のデジタル化が進んでいるスウェーデンなどの北欧では、逆に反デジタル化の動きが進んでいると聞きますが、実際のところどのような状況なのでしょうか。一方日本では、デジタル化の功罪についての議論は少なく、いかにしてデジタル化を進めていくかという議論しか見られないように思うのですが、実際のところ行政の方ではデジタル化にもっと慎重であるべきという議論はないのでしょうか。


A.

おっしゃる通り、スウェーデンをはじめとする北欧諸国では、教育のデジタル化に対する再評価が進んでいます。スウェーデンでは、かつてタブレットやPCを1人1台配備し、紙の教科書を廃止するなどのデジタル化を推進していましたが、近年、紙の教科書や手書きの練習に回帰する動きが見られます。 (北欧の教育におけるICTからアナログへの移行とその背景 - Genspark)

この政策転換の背景には、児童の読解力低下が指摘されています。2016年から2021年にかけての国際読解力調査(PIRLS)で、スウェーデンの小学4年生の読解力が低下傾向にあることが報告されました。 これを受け、ロッタ・エドホルム学校担当大臣は、幼稚園でのデジタル機器の使用を見直し、6歳未満の子どもたちのデジタル学習を停止する計画を発表しています。 (北欧の教育におけるICTからアナログへの移行とその背景 - Genspark, IT先進国スウェーデン、学校で「紙と鉛筆のアナログ教育」に戻る …, IT先進国スウェーデンの学校が「紙と鉛筆のアナログ教育」に回帰!?)

一方、日本では「GIGAスクール構想」により、小中学校での1人1台端末の配備が進められています。 しかし、デジタル化の影響についての議論は限定的であり、主にデジタル化の推進方法に焦点が当てられている印象があります。行政内部でデジタル化に対する慎重な議論が行われているかについての具体的な情報は見当たりませんでした。 (小学校「デジタル教材」先進国スウェーデンで学力の低下が顕著 …)

スウェーデンの事例は、教育のデジタル化が学力や学習効果に与える影響を再評価する重要性を示しています。日本でも、デジタル化の利点と欠点を総合的に検討し、子どもたちの学習環境に最適なバランスを見出すための議論が求められています。